大判例

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大阪地方裁判所 昭和46年(ワ)152号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕第三、時効について

一、本件事故が昭和四二年九月一二日に発生したものであるところ、本件訴提起の日が昭和四六年一月一六日であることが記録上明らかであるから、特段の事情のない本件において訴提起当時既に三年の時効期間が経過していることになる。

二、そこで、原告主張の再抗弁について考えてみる。

(一) 原告が被告会社に対し昭和四五年七月一五日付内容証明郵便で催告をなしたことは当事者間に争いがない。そして成立に争いのない甲第九号証の一、二によれば右書面は同月一六日過ぎ頃被告会社に到達したものと認められ、また、右の催告は、休業補償費、慰謝料等の内金としてとりあえず金五〇〇、〇〇〇円を同月末日までに支払うよう」求め、「右内金については後遺症が認定された段階で全損害額を確定し清算したい」旨の表示がされていることが認められる。従つて、右の催告が本件訴と同一性のある債権の請求についてなされたものであることが明らかである。被告会社は、右の催告が可分しうる債権の一部(内金)の催告であるから時効が中断されるとしても金五〇〇、〇〇〇円の範囲に限られると主張するが、右認定の如く右の催告は、原告において、全損害額の確定次第清算するがとりあえず半月後の近い機会に金五〇〇、〇〇〇円を支払うよう求めたもので、従つて、本件事故による損害金全部についての請求の意思があつたものと認めるのが相当であり、一般的にみても債権の一部の催告は裁判上の一部請求の場合とは異なり、特に一部の債権についてのみ催告する意思が明確でない限り債権全部について催告がなされたものと考えるのが相当であるから、被告会社の主張は失当である。しかして、前記のとおり本件訴提起のあつたのが昭和四六年一月一六日であるから、右の催告が被告会社に到達した日から六ケ月内に訴えの提起があつたものと認められ、これにより被告会社についての時効は中断されたものと認められる。

(二) 被告秋田が昭和四五年七月二八日付でその頃原告に到達した内容証明郵便で原告に対し請求原因第四の一の(二)記載どおりの内容を表示したことは当事者間に争いがない。右事実によれば、被告秋田において賠償債務額が具体的に確定し次第「話し合いで円満解決したい」「何時でも示談に応ずる」旨の意思を表示したものであり、従つて具体的な賠償額の支払いを認めたものではないが、同被告において、原告に本件事故による損害賠償請求権の存在することを認めこれを前提にして右の表示をなしたものと解するのが相当である。しかして、時効中断の効力を有する承認は、相手方の権利の原因、内容、範囲等一切の事実を確認することを要すものではなく、明示又は黙示により権利自体の存在することを認めれば足るものと解されるので、被告秋田の前記の表示は時効中断の効力を有する承認にあたるものと認めるのが相当である(なお、原告本人尋問の結果によれば、同被告は本件事故後より前記承認がなされたものと認定される昭和四五年七月二八日頃までの間数回にわたつて原告の治療費、慰謝料、交通費等約三〇〇、〇〇〇円ほどの支払いをなしていたことが認められるので、そのこと自体が債務の一部弁済として本件債権全部についての時効中断事由にあたると共に、前記書面による表示が原告の債権の存在を認めていた事実を補強する事情ともいえる)。

(吉崎直弥)

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